今回は、2024年11月26日(火)/11月27日(水)13:00~17:00に開催されたASEAN FUTURE SUMMITにて、ご登壇いただいた、「日本ブランドをフィリピンに広げる商業施設 『Mitsukoshi FRESH/BEAUTY』の戦略」のセッション内容を当日参加できなかった方に向けてまとめてお届けします。
是非、これを読んでフィリピン市場への理解を深めていただけましたら幸いです。
■イベント概要
・名称:ASEAN FUTURE SUMMIT 2024
・日時:11/26(火)・11/27(水) 13:00〜17:00
・主催:株式会社FinT (https://fint.co.jp)
ASEAN FUTURE SUMMIT 開催の背景
少子高齢化で市場が縮小していく日本において、新たな市場開拓という面で、ASEAN市場への進出の必要性が高まっています。しかし、依然足踏み状態が続いており、進出後も軌道に乗せることができず撤退するケースも少なくありません。昨年5月よりASEAN進出支援を行っているFinTは、今回ASEAN FUTURE SUMMITを通して、先駆者から最新ビジネス動向のリアルを知る機会を作ることで、今後さらなる日系企業がASEAN市場にチャレンジする契機となることを目指します。
登壇者紹介
Mitsukoshi FRESH/BEAUTY Mitsukoshi Federal Retail Inc. President 小池哲夫様
Mitsukoshi FRESH/BEAUTY Mitsukoshi Federal Retail Inc. Mitsukoshi FRESH General manager 石本隆人様
株式会社明治グローバルカカオ事業本部カカオ企画部グローバル営業グループ専任課長 中野将陽様
株式会社FinT グローバル事業部 Sales Manager 前田陽大
アジェンダ
1)フィリピン市場に関して(FinT前田より)
2)Mitsukoshi様の戦略
3)明治様の戦略
4)質疑応答
フィリピン市場に関して
セッションの冒頭で、フィリピンの基本的な市場感について、FinTグローバル事業部の前田が解説しました。
FinT 前田:フィリピンの全体感として特に注目すべきは、15歳から39歳までの若年層が人口の40%以上を占めており出生率も依然として高く、今後は購買力を持つ労働力人口(18~64歳)の増加が期待されていることです。最新の経済成長データを見ても、フィリピンがASEANの中では1番実質GDP成長率も高いというような状況です。
このようなポテンシャルがあるのにも関わらず進出が難しい理由として、4つ挙げられます。1点目は東南アジアの中でも厳しい外資規制がされていること、2点目は外資参入規制などが原因となっているインフラの脆弱さです。3点目は税務などを含めた、行政手続きの煩雑さです。最後に4点目としてマーケットが分散していて、単一マーケットとして対応が難しいというのが挙げられます。
一方で、この市場の難しさというのも変わりつつあります。外資規制については、緩和がどんどん進んでいます。コロナの影響を受けて経済が倒れてしまったので復興していくべく、外資の力も取り入れていこうとする動きです。また、インフラ整備に関しても加速しています。外資の参入で物流コストが下がったり、国際空港においても新ターミナルの運用が開始しています。最後に、訪日観光客が増加しているのも、フィリピンの市場に挑戦する一つの大きなポジティブな要因かなと考えております。
投資リスクが軽減して、競合も少ない今こそ進出チャンスと捉える日系企業さんも増えてくのではないか、ということをお伝えしたいです。
Mitsukoshi様の戦略
フィリピンの市場感を踏まえて、Mitsukoshi FRESH/BEAUTYの小池様より現在のプロジェクトの全体感やターゲット、コンセプトについてお伺いしました。
Mitsukoshi 小池様:三越伊勢丹グループは、海外事業の新戦略としてフィリピン市場に進出し、現在「Mitsukoshi BGC」プロジェクトを展開しています。この取り組みの背景には、これまでの海外進出での失敗から得た教訓があり、中国市場での競争激化やコロナ禍による店舗撤退を経て、従来の「百貨店モデル」には限界があると認識しました。従来の百貨店モデルとは、大型の商業施設を運営し、多様なテナントや商品の提供で収益を上げる形式を指しますが、運営コストが高く、市場環境の変化に対応しにくい点が課題でした。そこで、規模を抑えつつも現地パートナーとの連携を活用し、多角的な収益モデルを導入する新しい事業モデルを開発しました。
野村不動産さん、三越伊勢丹ホールディングスという日系2社に加え、現地のフェデラルファンドという不動産会社の3社が出資をするジョイントベンチャープロジェクトとして現状はプロジェクトを運営しております。従来の百貨店モデルに依存せず、不動産開発や住宅販売を含む収益源を複数構築することで、安定した事業展開を目指しています。
フィリピンのマーケットとして、非常に二極化が激しく低所得者層から貧困層といわれるところのシェアが非常に高いです。現地の財閥や中小企業の社長さんを含めた、富裕層から超富裕層に至る一部の上位層の方々も非常に購買力が高いという特徴がありながら、どのマーケットに対して商売するのかという点が非常に重要だというふうに我々は考えています。その中で我々は強みとしては今まで日本では日用品などを売るのではなく、どれだけ付加価値をつけてお客様に商品を提供できるのか、ということを強みにやってきたため上位3%のお客様に対して商売をするということをターゲットに今はやっています。
その中でも現地の大型モールや商業施設もたくさんあるので、差別化ができるように現地でやってないような新しいマニュアルライフスタイルを提案するということをコンセプトに今お店を展開しています。開業当初は極力プロダクトアウトにならないようにするために日本の商品のシェアを30%くらいにして、実はローカルの商品を多めに品揃えをしてスタートさせていました。しかし現地のフィリピンのお客さんの親日の度合いが高く、日本の体験を我々の商業施設に求めてるということがわかってきたので当初日本の商品のシェアを30%で始めたものを、約1年間かけて現在約70%まで増やしてきている段階です。
2022年に開業し、もうまもなく2年になるのですが、2年経ってようやく軌道に乗ってきたのでこのビジネスモデルを中心に、今後はいろんなところにお店を広げられるように頑張っていきたいと考えています。
明治様の戦略
続いて、明治の中野様から食品業界における進出事例をお伺いしました。
中野様:明治としてフィリピンへの輸出は約30年前に開始し、現地拠点は構えていません。ビジネスにおいては失敗も経験しています。1つ目は多チャンネルへの一斉展開です。日本のパッケージや訴求言語が現地に合わず販売が苦戦しました。2つ目は、リスティング料の効果的な投下です。やみくもに商品を導入しても、販売面積が広がらず、売上も上がらずデータの有効活用ができませんでした。3つ目は、現地ディストリビューターへの過剰依存です。日本ではブランドの一定の認知がありますがマーケティングがローカライズ不足だったという反省をしました。
フィリピン進出の際に、①「ターゲットとチャネルを絞り込みたい」②「現地の小売業とのネットワークが脆弱」③「消費者との接点からマーケティングのヒントを得たい」という悩みをお持ちの場合も多いかと思います。そのような時にMITSUKOSHI FRESH様との取組みが効果的です。明治がチョコレート効果という商品をフィリピンに初めて輸出した際には、スーパーの目の前のスペースでイベントを開催し、独自のアンケート調査やチョコレートドリンクの試飲などを行いました。イベント終了後、スーパーのスペース内で継続した啓発活動も可能です。一度イベントで購入いただいたお客様に対して繰り返し商品を訴求したり、商品の細かいコンセプトや訴求点を伝えたりといったコミュニケーションが取れるというのは非常に大きなポイントでした。
最後にフィリピンの明治としての展望です。大きく3つございますが、1つ目は「ポテンシャルに投資する」ということです。絶対的な人口だけではなくて、生産年齢人口が増加し産業自体が高度化してASEANで最も伸びしろが大きくなる国ということが期待されています。2つ目は、「フィリピンローカライズ」です。今後フィリピンならではのカカオ文化に寄り添ったブランドに変えていき、初めて商品を目にしたフィリピンの方々にも寄り添ったコンセプトを伝えていきたいです。3つ目は、「エリアの拡大」です。マーケットが分散しているということで難しい国ではありますが、今後も物流網を整えて丁寧に向き合っていくということが必要だと考えています。
デジタルマーケティングに関して
FinT 前田:デジタルマーケティングに関して明治様ではどのように取り組んでいるのでしょうか。
明治中野様:まずプラットフォームを整えようということでFacebookとInstagramを整えています。フィリピンではスマートフォンの普及率が高く、生活の中でもSNSに多く時間を使うため発信内容についても現地のパートナーによくヒアリングをしています。SNSの中でもインタラクティブなやり取りを増やしています。
FinT前田:ありがとうございます。Mitsukoshi様はいかがでしょうか。
Mitsukoshi 石本様:FinTさんにお願いして戦略部分の設計をしていただいています。1個1個のコンテンツからどういう風にマーケティングに繋がるのか、といった無形の部分を整理しマーケティングを安定化しているところです。
今後のウェビナーのご案内
株式会社FinTでは、定期的にSNSのウェビナーを実施しております。
是非、興味ある方は下記からご確認をお願いいたします。