今回は、2024年11月26日(火)/11月27日(水)13:00~17:00に開催されたASEAN FUTURE SUMMITにて、ご登壇いただいた、「ASEANに挑むスタートアップの成長戦略と成功の鍵」のセッション内容を当日参加できなかった方に向けてまとめてお届けします。
是非、これを読んでASEANにおけるスタートアップへの理解を深めていただけましたら幸いです。
■イベント概要
・名称:ASEAN FUTURE SUMMIT 2024
・日時:11/26(火)・11/27(水) 13:00〜17:00
・主催:株式会社FinT (https://fint.co.jp)
ASEAN FUTURE SUMMIT 開催の背景
少子高齢化で市場が縮小していく日本において、新たな市場開拓という面で、ASEAN市場への進出の必要性が高まっています。しかし、依然足踏み状態が続いており、進出後も軌道に乗せることができず撤退するケースも少なくありません。昨年5月よりASEAN進出支援を行っているFinTは、今回ASEAN FUTURE SUMMITを通して、先駆者から最新ビジネス動向のリアルを知る機会を作ることで、今後さらなる日系企業がASEAN市場にチャレンジする契機となることを目指します。
登壇者紹介
株式会社ジェネシア・ベンチャーズ General Partner 鈴木隆宏
株式会社KAMEREO Founder&CEO 田中卓
株式会社FinT 代表取締役CEO 大槻祐依
アジェンダ
1)グローバルで戦う背景について
2)日本発のスタートアップが何を武器に戦っているか
3)マーケットの可能性(ASEAN / ベトナム)
4)海外での資金調達について
グローバルで戦う/支援する背景について
FinT 大槻:お二人がグローバルで戦う、または支援しようと思ったのはなぜでしょうか。
ジェネシア・ベンチャーズ鈴木様:幼い頃からサッカーをしていて大学時代はラクロス部に入部しました。そこでスポーツだけやっている自分に疑問を感じて部活を辞めさせてもらい、ベトナムに行ったりカンボジアでボランティア活動をしたりするうちに、将来新興国に関わりたいという思いを持つようになりました。特に、経験と資金を新興国に振り分けるのが一番社会貢献につながるのではないかと思い、サイバーエージェントで新規事業の立ち上げなど起業するための準備をしていました。5年ほど働いている中で役員陣から東南アジアでファンドを立ち上げないかという声をかけていただき、チャレンジしたという経緯です。また、キャリアの希少性も重要性だと思っていて、2011年にインドネシアでベンチャーキャピタルはほとんどおらず「自分でも勝ち残れる」と思い、あまり迷わずに意思決定しました。
KAMEREO 田中様:中学生くらいの時から起業したいと思っていましたが、新卒の時は大きな会社に入社して社会や働くということを学ぼうと思っていました。食に興味があったことから元々日本で飲食店をやろうと思っていたのですが、日本で今から0→1で立ち上げてもマーケットが伸びないかつ大きな会社も既にたくさんあるため、大きく勝つのは難しいと感じました。その当時、海外のマーケット、中でも東南アジアが大きく成長しており、興味を持ちました。急成長マーケットの中で会社を成長させる過程に貢献できる会社で修行したいと思っていたところ、Pizza 4P’sの創業者のブログを見つけて連絡を取り、入社したのがベトナムに移住したきっかけです。そして、Pizza 4P’sで多店舗展開や購買管理をしている中で、ベトナムのサプライチェーンの脆弱性を感じました。サプライヤーにオーダーしても時間通りに商品が届かなかったり、注文時と配達時の商品価格が異なったり、品質や供給が安定しない等と問題が多かったです。そこで、現在のKAMEREOを創業するに至りました。
日本発のスタートアップが何を武器に戦っているか
FinT 大槻:BtoBでの戦い方や自分たちだからこその武器はありますでしょうか。
KAMEREO 田中様:日本人とベトナム人が違うからベトナムに合わせるといったことはあまりしていないです。日本発の武器としては2つあると思っています。1つは忍耐力です。東南アジアの起業家は短期的思考で事業を運営していることが多く、10年後やそれ以上先の未来に自身が作りたい世界や価値などを考えている人は多くありません。我々が運営するプラットフォーム事業やインフラ作りはロングタームで積み上がっていくものなので、その点で日本人が持つ改善を積み上げる忍耐力が強みとなると思います。もう1つは資金調達です。ベトナムや東南アジアの国内には投資家が少なく、資金調達が難しいですが、日本の投資家の中にも東南アジアに目を向けて投資している会社が多くあります。そういった投資家に比較的容易にアクセスできることは大きな強みだと思います。
ジェネシア・ベンチャーズ鈴木様:海外の方からの日本のオペレーションに関する信頼は非常に高いと思っています。我々の投資先にスキルノートという製造業の職人さんたちのスキルの習熟度を管理するSaaSを提供する会社があります。日本の製造業の現場は世界的に未だにリスペクトされており、そのオペレーションをつかさどる人材育成の仕組みを型化できるのであればすごく価値があるという理由でドイツSAPのアクセラレーションプログラムにも採択されて、製造業のERPに強みをもつSAPのネットワークを通じてグローバルな拡大ができ始めています。日本の場合は、テクノロジー、ソフトウェアで勝つのではなく、オペレーションなど何が評価されているのかというところに注目してみると勝ち筋になるのではないかと考えています。
マーケットの可能性(ASEAN / ベトナム)
FinT 大槻:ASEANのマーケットやスタートアップの状況についてお伺いできますでしょうか。
ジェネシア・ベンチャーズ鈴木様:マクロ経済で見た時に国が成長し続ける大きな共通点は人口が増え続ける人口ボーナス期かどうかです。そう考えた時にインドネシアの人口は2011年時に約2億4000万人、今現在が約2億8000万人と成長しており、今後も3億人を超えるまで増加していく見込みです。また、スタートアップにフォーカスすると投資家の多様性が大きく、東南アジア域内以外だと北米、欧州、中華圏、韓国、中東などの投資家もこの地域に投資をしています。一方で、2022年末から市場環境が悪化しており、足元では資金調達環境は厳しい状況が継続しています。見方を変えると東南アジアのマーケットが今後も大きくなっていく中で日本が相対的に資金を集めやすい状況の為、日本で資金調達して、海外で戦うというやり方もあるのではないかと思っています。
FinT 大槻:ベトナムマーケットの可能性や、もし他国展開も考えてらっしゃるのであればお伺いしたいです。
KAMEREO 田中様:我々は食材の流通インフラを作るビジネスを運営しており、ベトナムだけで数千億円規模の事業を作る事が将来的に可能だと考えているため、他国展開は中短期的に考えておらず、ベトナムの食材流通においてNo.1になることにフォーカスをしています。ベトナム戦争が1975年と比較的最近終わった事もあり、ベトナムにはASEAN他国のような巨大財閥がほとんどありません。更に、担保と黒字経営の両方が無いと銀行借り入れが実質的にはできないため、大きな資金を使って事業を成長させることの難易度が他の国と比べると高いです。裏を返すと大きな競合がいるわけではないですし、大きな資金を調達できれば多くの競合とは違った戦い方が可能となり、各業界でNo.1になれる可能性があると考えています。
海外での資金調達について
FinT 大槻:田中さんは海外の投資家の方からも資金調達されていますでしょうか。
KAMEREO 田中様:はい、我々は海外の投資家を含む複数の投資家から資金調達を実施しており、日本だけでなく、ベトナム、シンガポール、タイの投資家からも資金調達を実施済みです。様々な国に株主がいるとそれぞれの国のネットワークを紹介してもらえるのが強みです。また、日本に本社を置くと創業初期でも少し借り入れができるようになるなど良い面はありますが、海外投資家からの調達はなかなか厳しいと思います。我々は創業初期からベトナム市場を主戦場に大きく資金調達をしてプラットフォームを作ることを目指しているので、最初から様々な国の投資家の方から調達できるようにシンガポールに本社を置きました。
FinT 大槻:日本の起業家が海外で資金調達をする時のポイントはありますでしょうか。
ジェネシア・ベンチャーズ鈴木様:1つは語学だと思います。基本的に人と人とのコミュニケーションにおいて、AIを通じて会話するよりも明らかに直接話した方が信頼関係を築きやすいため語学は必須です。ある国で事業を進出したいと考えた際に、その地域でプレゼンスのある投資家からお金を集めたい場合は、事前に小さくても良いので進出してみて、実績を積み上げておくことが大切です。日本でどんなに成功していても、新しい市場でうまく行くとは限らない為、小さくても良いのでトライアル的に事業の兆しを作ることができていれば、再現性を持って事業ができるという説得力が出てきます。投資家に対して、これら実績を踏まえたプレゼンテーションをしていくと良いと考えています。
- 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ
株式会社ジェネシア・ベンチャーズは、プレシード/シード期のスタートアップに投資と経営支援を行う、独立系のベンチャーキャピタルです。日本と東南アジアのスタートアップエコシステムの発展を支援する活動を続けています。
https://www.genesiaventures.com/
- 株式会社KAMEREO
株式会社KAMEREOは、ベトナムで飲食店やスーパーマーケットなどの事業者向けにBtoBの食材卸売Eコマースサービスを展開しています。野菜や果物のほかに肉、卵、調味料、飲料類飲料類など、2,000種類以上の商品を取り扱っています。
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