この事例の成果
- 商材特性を踏まえた勝ちパターンを確立
- コンバージョンにつながる施策設計を実現
株式会社FinTは、株式会社ベネッセコーポレーションが包括的業務提携契約を締結するUdemy, Inc.運営のオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy(ユーデミー)」のSNSマーケティングのご支援をさせていただいております。今回は、同サービスのマーケティングを担当する尾形様と、株式会社FinT 担当ディレクター吉松に、インフルエンサー施策を駆使したコンサルティングについて取材しました。
(取材:株式会社FinT 広報担当石原里奈)
本日はよろしくお願いします!まずはUdemy様について、また尾形様の担当業務についても簡単に教えてください。
尾形様:「Udemy(ユーデミー)」は、米国法人Udemy, Inc.が運営する学習プラットフォームで、グローバルに展開しております。C to C(Consumer to Consumer)プラットフォームで、世界各地にいる6200万人以上の「教えたい人(講師)」と「学びたい人(受講生)」をオンラインでつなげる事業モデルになっております 。

株式会社ベネッセコーポレーション尾形様
私が担当しているのはtoC、つまり個人の学習者向けのマーケティングではありますが、Udemyには法人向けサービス「Udemy Business」 もあります。Udemyで公開されている講座は世界で21万本以上存在していますが、その中から、日本の利用者向けに厳選した約1万講座をサブスクリプションという形でご提供しております。
米Udemyと業務提携を行うベネッセコーポレーションとしても、一生涯の学びを通して、社会と人々の人生が豊かになるよう、社会人の学びを支援することを命題に掲げています。子ども向けの教育サービスがある一方で、社会人の学びを応援する…という文脈で、2015年に米Udemyと業務提携を開始したという背景です。
Udemy様のサービスの特徴や強みなどについても教えていただけますか?
尾形様:前述の通り、コンセプトとしては「教えたい人」と「学びたい人」をオンラインでつなげる、C to Cのプラットフォームです。基本的には、どんな人でも教えたい講座をアップロードでき、その動画を購入して学ぶことができる仕組みになっています。最近では受講者が増えており、ユーザー全体で言うと世界で6200万人以上、そのうち日本の受講者数は130万人以上にまで成長しています。講師数(約7万人)は英語や外国語で公開されているものも含めると、講座数は21万本以上に上ります。メインの利用者は20〜40代、働き盛りの社会人、スキルアップを図りたいビジネスパーソンにご活用いただいています 。
学習分野としてはかなり幅広く展開しております。Udemyユーザーにはエンジニアの方が多いイメージを持たれることが多いのですが、実際は多岐にわたります。
たとえば、直近で言うとChatGPTなどの最先端スキルからエンジニア向けのPythonやAWSなどのプログラミングスキル、その他では基礎的なビジネススキルからマーケティング職の方にも学んでいただけるようなExcel、データ分析、マネジメント、デザイン・3DCG制作など、実に幅広いテーマを扱っています。
もう1つ、to Cに関しては買い切り型での提供となるため、一度講座を購入してしまえば期限なく学べる点は、非常に特徴的なオンライン学習サービスと言えるかもしれません。
また、1講座十数時間もある講座でも、セールの時期には一冊の本を購入するくらいの金額で気軽に購入できるので、コストパフォーマンスが非常に高いのも大きなメリットです。
何かを学び始める方にとって、参考書などの本を開いて学ぶ形式が煩わしかったり、億劫だったりする分野など、さまざまな傾向があるとは思いますが、「まずは動画で見て学び、講師の言う通りに手を動かしながら覚えていく」といった学習法はやりやすいというイメージを持たれる方が多いように感じます 。
FinTとの取り組みについても深堀りさせてください。今回施策をご依頼いただくにあたり、当初の課題感や狙い、重視した指標はどのようなところにありましたか?
尾形様:目的は、端的に言えばInstagramとTikTokを活用したUdemyというサービスの認知拡大と新規ユーザーの獲得です。
InstagramとTikTokでの実施を決めた背景は2つあります。1つは、ターゲットとなる20〜40代のユーザーがSNSを多く活用していること。そしてもう1つは、以前YouTubeで実施したインフルエンサー(=YouTuber)とのタイアップ企画の結果が良かったため、他のSNS媒体にも展開が期待できるのでは…といった流れ。
InstagramやTikTokというプラットフォームが、そもそもUdemyを使う=学習者との相性が良いのかどうかも分からなかったので、その検証のために、まずは小規模でも実際にユーザーの獲得ができるのかという点にフォーカスして取り組ませていただきました。
SNSを活用するに当たっての目標設計時に、「ユーザー認知」を据えることも検討したのですが、「教材」という商材の特性上、購入ハードルが高いことは理解していたので、インプレッションだけが伸びたとしてもコンバージョンに繋がりにくく、本当にニーズのあるユーザーに届いているか、分からないという課題がありました。
そのため、まずは購入いただける潜在ユーザーがいるのかどうかを検証することをKPIにしました。このKPIに合わせて、最適なクリエイター、クリエイティブ、そして紹介する講座の組み合わせを、FinTさんと繰り返しPDCAを回して検証させていただいておりました。
それでは施策の具体的な内容について教えてください。
吉松:今回実施したのはインフルエンサー施策。中でも、ユーザー獲得を狙いとした施策でしたので、第一に意識したのは動線設計です。
インプレッションが伸びたとしても 、実際の購入までの動線設計がないと、離脱が起きる懸念がありました。当初は広告配信とあわせて実施したこともあったのですが、購入までつなげるのに苦戦した面もあり、そこからはInstagramのストーリーズを活用した施策に方向性をシフトしました。
結果として、ストーリーズからの購入は今のところ好調という印象があります。この点に関しては、プラットフォームとの相性やクリエイティブに左右されるというよりかは、コミュニティが大きな変数になっているのではと考えています。

株式会社FinT 吉松
「コミュニティが変数になる」とは、具体的にどういう意味ですか?
吉松:フォロワーのインフルエンサーに対する熱量や、インフルエンサーとの繋がりの強さが大きな鍵を握っていると思っています。
たとえばアパレルなどは特に顕著かと思うのですが、投稿へのコメントを見ていると、洋服の紹介をしていても、インフルエンサーのビジュアルに対するコメント(「かわいい」「スタイルがいい」など)が集まっているケースがあります。このようにインフルエンサーを軸としたコミュニティの熱量と質を押さえて、施策を打っていく必要があると感じています。
尾形様:インフルエンサーを選定する際にも観点が大きく2つありました。1つはフォロワーの学習意向が高いのかどうか。そして、紹介する講座との相性が良いかどうか。この2つが揃わないと、やはりユーザーも教材の購入には至りません。インフルエンサーのフォロワーの中に、しっかりと学習意欲のある方がいる上で、ぴったりの講座をご紹介いただくことが重要だと思っており、それが吉松さんの仰る「コミュニティ」の部分と繋がったのではと思います。
そんなコミュニティの中でも、カテゴリーを複数用意したと聞きました。このカテゴリーについてはどのような観点で選んだのか、ご説明をお願いいたします 。
吉松:まず、マストで入れたい、Udemy様の中で注力されているジャンル(デザインやプログラミング)をカバーした上で、Udemy様の教材とのマッチ度からカテゴリーをある程度精査しました。
あとは、「そのカテゴリーを派生させた時にどんなカテゴリーがあるか?」なども考慮し、自己投資の分野もご提案しました。このようにカテゴリーを複数用意した上で、エンゲージメント率やコメントの内容などを確認しながら、どのようなインフルエンサーに熱量の高いコミュニティが存在しているのか…リサーチを重ねて選定させていただきました。
インフルエンサーの選定にあたって、Udemy様の基準はどのようなところにありましたか?
尾形様:先述した通り、フォロワーの学習意向と、トピックとの相性。あとはもう1つ、大前提として、SNSをどのような視聴態度で見ている人が多いのか、という視点。「このインフルエンサーのフォロワーが多いのはなぜか?」「フォロワーはどんな目的でフォローしているのか?」という視点です。
たとえば、投稿がデザイン関連のTIPSが多いインフルエンサーなら、フォロワーはTIPSを求めてフォローしている…つまり学習意欲が高く、デザインというトピックとの相性がいいことがわかりますし、そもそも学習目的でそのプラットフォームを使う方がいることもわかりますよね。媒体を使う目的や、フォロワーのユーザー層などは、念頭に置きながら選定しました。
確かに、教材を商材とする上で、学習意欲=モチベーションといった観点は前提として重要ですよね。では、実際にこれまで実施した過去3回の施策結果について教えてください。
吉松:カテゴリー別の検証ポイントを設けて検証した結果、デザインが安定して新規ユーザーの獲得に寄与していることを確認できました。
その中でも、どんなインフルエンサーが良かったかについては、リーチ数とエンゲージメント率、そして新規ユーザー獲得という3つの評価ポイントを設けました。
リーチ数が伸びた人でも、ユーザー獲得までは寄与しなかったとか、逆にリーチ数は微妙だけど、意外とユーザー獲得が生まれている…など、「拡散性=影響力」ではない結果が見えてきたのが、個人的には興味深いポイントでした。
Udemy様の方からは、遷移率やCVRなど事業面での影響はありましたか?
尾形様:マーケティング指標上で言うと、繰り返しやることによって、特にCVRは伸ばすことができたと思っています。
先ほどの話にも繋がりますが、リーチ数が伸びるだけでは、ユーザーにとって本当に意味のある情報提供ができているかが分からなくて。ですが、繰り返しやることによって、遷移数はそんなに大きくないけれど、遷移後の購入率(=CVR)が良いパターンが、ケースとして増えてきた実感があります。
どちらかというと、学習に対する関心や意向を高めているような感覚でしょうか。
尾形様:学習意向を高めるというよりも、元々学習意向がある方に学び方の1つとして情報を提供するイメージです。なので、今後はその投稿自体で学習の意向を上げるというよりも、元々意欲がある方に対してぴったりの教材があることを伝えるような情報提供を行っていくことを主として考えていきたいですね。

今回の施策を受けて、どのような傾向や共通点が見えてきたかを教えてください。
尾形様:Instagramに関しては、利用しているユーザーに興味を持っていただけるUdemyのカテゴリーや、情報提供の手法などが少しずつ見えてきました。
やはり、数多のクリエイターの中でも相性が良い方というのがいらっしゃって、そういった方々にご協力いただきながら施策を打つ勝ち筋が見えてきたなと感じます。
TikTokについては、直近は傾向が変わってきたとは言うもののまだエンタメとして媒体を見ている方が多い感覚があります。そういったプラットフォームで、どのような情報提供をしていくのが良いかについては、中長期的に検証していきたいですね。
吉松:先ほども申し上げたように、今回気づきとして大きかったのは「拡散性≠影響力」というポイント。今回のようにニッチなコミュニティに刺しにいくような施策の場合、拡散性という観点だけでインフルエンサーを選んでも、やはりなかなか購入には至りませんでした。なので、繰り返しになりますが、見るべきはコミュニティの熱量だと考えます。教育教材という商材の特性からも、どれだけ学習に対して前向きな層に当てていけるかが重要ですね。
コメントの熱量と、その商材のマッチ度によって売上への寄与が発生することがわかってきたので、しっかりとカテゴリーを選別し、各カテゴリーの中の熱量の高いインフルエンサ―を起用しつつ、施策を打っていくのが大切と言えるでしょう。
なお、「熱量の高さ」の見分け方に関して言うと、ストーリーズの閲覧人数と閲覧割合には相関関係がありそうと予測しています。
やはりストーリーズを最後までしっかりと見てもらえているインフルエンサーは、フォロワーから常に情報をキャッチアップされている方だと言えそうですよね。
また、コメントの内容も重視する必要があると感じています。「ためになりました」などのコメントと、「自分もそれで勉強してみたい」といった主旨のコメントでは、かなりフォロワーの熱量に差があるように感じるので、コメントからも熱量の度合いは一定数導き出せるのではと読んでいます。
尾形様:FinTさんは、SNSマーケティングに関するナレッジが豊富なのはもちろん、こうしたコメントをひとつひとつ見るなどの地道な検証、いわゆる泥臭い部分までカバーして見てくださるので、本当にありがたいなと思います。
ありがとうございます。それでは、これまでの施策を経て、取り組みの良かった点や効果的だと感じた点、またFinTに対する率直なご感想があればお聞かせください。
尾形様:今回のインタビューの核にもなっているように、Udemyは「講座」と一言で言っても、プログラミングからデザイン、ビジネススキルまで幅広い分野を取り扱っております。
そのため、どこに、どんなニーズで、どんな目的を持ったユーザーがいるのかを探索することが複雑で難しく、課題だとも感じています。
その探索にあたり、FinTさんの持つSNSマーケティングにおけるナレッジを活かしていただきつつ、両者がしっかり振り返りをした上で施策をご提案いただけたという点において、本当に質の高いPDCAを回すことができたと思っています。
吉松:確かにディスカッションベースでお互いに密に話し合いながら施策を進められたので、本当に「パートナーとして一緒に作り上げていく」体験をさせていただきました。

尾形様:打ち合わせの段階からも、施策をご提案いただく際、しっかりと私たちの課題感をヒアリングした上で提案資料に落とし込んでいただいたと実感しており、そのような経緯からも信頼してお任せできると感じていました。
レポーティングに関しても、もちろん基本的な数値を見ていないわけではなく、数値結果を踏まえた上でポイントや議題について深堀りさせていただき、次につなげていくディスカッションをさせていただく、「レポーティング+α」をしていただいたのが非常に印象的でしたし、本当にありがたかったと感じます。
評価いただけて何よりです。それでは最後に、今後のSNS方針のほか、ブランドとしての展望や目指す姿を教えてください。
尾形様:マーケティングという視点で見ると、ユーザーの獲得や認知の獲得をどうしても第一目的に考えてしまいがちですが、それ以前にユーザーにとって最も有益な形で情報を提供することが重要だと、個人的には思っています。
当然のことながら、ユーザーはSNSごとに異なる目的で、かつ異なる閲覧姿勢でSNSを利用しています。そのため、ユーザーが各プラットフォームで何を求めているのか?そしてそのニーズをUdemyのサービスは応えられるのか?ということを念頭に置きながら、価値のある情報提供ができるコミュニケーション設計を考えていきたいと思っています。
吉松:FinTとしては、デザインというカテゴリーにおいては、一定の勝ちパターンが見えてきたと思っておりますので、さらに大きく踏み込み、しっかりとインパクトを出せるような施策を打ちたいと思っています。
また、今回のデザインのようなカテゴリーを見出しながら、各カテゴリーの成功パターンを導き出し、さらにスケールさせていくことで、Udemy様の事業貢献により一層寄与したいと考えております。
本日はありがとうございました!
株式会社FinTでは、各SNSプラットホームの運用戦略立案から、画像制作、投稿、プロモーションの実施、効果測定といった運用のトータルサポートをさせていただいております。運用だけではなく、インフルエンサーマーケティングやSNSコンサルなど、SNSにまつわる設計や分析〜実装まで幅広く実施しておりますので、ご相談があればお気軽にご連絡ください。