SNSマーケティングのKPIは、SNS活用で最終的に達成したい目標であるKGI(Key Goal Indicator)から逆算して設計します。フォロワー数のような分かりやすい指標だけを追うと、実際の反応やコンバージョンが伴わないアカウントに育つリスクがあるため、KGIとの関連性を持たせたKPI設計が欠かせません。
本記事では、SNSマーケティングの開始を検討している、またはSNSマーケティングを強化したい担当者に向けて、KGI・KPIの違いから、適切なKPIを設計する3ステップの手順、SNS別・施策別に見るべき指標、業種の異なるFinTの実績データまで詳細に解説いたします。
SNSマーケティングにおけるKGI・KPI
SNSマーケティングにおいて、KGI(Key Goal Indicator)およびKPI(Key Performance Indicator)を適切に設定することは、成功を実現する上で極めて重要です。KGIはSNS活用の最終目標を明確に示し、チーム全体で共有された明確な方向性を提供します。一方、KPIは具体的な数値によって成果を評価し、戦略の有効性を測定する手段となります。それぞれKGIとKPIについて下記にて解説します。
KGIとは
KGIとは、「Key Goal Indicator」(重要目標達成指標)の略称であり、SNSマーケティングを実施する際の「最終的な目標」を示す指標です。
KGIは、企業やサービスの特定の課題やフェーズに合わせて、「認知度」や「売上」、「購入意向」などさまざまな要素が考慮されます。具体例として、ある企業が自社商品の認知度を向上させたいと考える場合、特定の年齢層ごとの認知度が異なる状況であれば、そのうちの一つの年齢層の認知度向上をKGIとすることが考えられます。この場合、SNS広告の実施やインフルエンサーとの連携、キャンペーンの実施などを通じて、認知度を増加させる手法が考えられます。
実際に弊社がこれまでご支援させていただいた案件の中にも、SNSマーケティングにおけるKGIを「若年層へのリーチ数の拡大」と設定することがありました。
KPIとは
KPIとは、「Key Performance Indicator」の略語であり、戦略や目標の達成度を評価するための重要な指標です。
この指標はKGIと関連性を持たせて設定することが大切で、SNSマーケティングの成果や効果を定量的に測定し、戦略の改善や調整に役立つ役割を果たします。
具体的な例として、Instagramを活用してブランド認知度を向上させることを目指している場合、KPIとして「フォロワー数の増加率」や「投稿へのエンゲージメント率」などが考えられます。フォロワー数の増加率は、新たなアカウントがフォローしてくれる人数の割合を示し、投稿へのエンゲージメント率は、いいねやコメントなどのアクションの割合を示します。
これらのKPIを定期的にモニタリングすることで、ブランドのSNS活動の成果を可視化し、戦略の調整や改善を行うための方向性を導きます。
KPIの設定方法と効果測定
具体的に定量的な指標(KPI)を設定していく際は、まず目的の明確化、つまりKGIの設定を行い、その後KPIを設定します。
ステップ①:目的の明確化

目的の明確化、つまりKGIの設定は、KPIを定める前の重要なステップとなります。
目標設定において大切なのは、数値で具体的な目標を設定することです。例えば、認知向上をKGIとする場合、現在の認知施策全体の中で、SNSからの認知がどの程度を占めているかをパーセンテージで示し、「商材やサービスにおけるSNSでの認知率を向上させる」といった形で効果を測定できる目標を設定することが重要です。
また、当社では売りたい商材やサービスのフェーズを適切に分け、それぞれに合ったKGIを設定することが大切だと考えています。例えば、「ブランド認知」「購買意向向上」「コンバージョン」の3つのフェーズごとに切り分けて、「総フォロワー数」や「エンゲージメント数」などをKGIを設計することをお勧めしております。
担当者やチームが抱えている課題だけでなく、会社の中期的な経営方針なども考慮しながら目標を定めましょう。これにより、将来的にSNSを通じて伸びる可能性が高い分野を特定することができ、多角的な視点からKGIを設定することが重要となります。
ステップ②:KPI設定と事例

まず仮に、KGIとして「若年層(20代)の認知度向上」を設定することにします。次に、このKGIに関連する具体的なKPIを選定します。この場合、インスタグラムの各投稿のリーチ率やフォロワー数の増加率が適切なKPIとなります。例えば、現在のフォロワー数が1000人で、3ヶ月後には1500人に増やす目標を設定することで、フォロワー数の増加率をKPIとして定めます。また、どのくらいの人が投稿を見たのかを計測するためにリーチ率をKPIとして設定することができます。リーチ率とは、投稿が平均的にフォロワーの何%に届いているかを、フォロー数とリーチ数(投稿がユーザーに表示された回数)を用いて算出した値です。
SNSマーケティングのKPI設定は、具体的な目標に基づいて数値を設定するプロセスです。適切なKPIを選定し、それを定期的にモニタリングすることで、戦略の評価や改善、成果の最大化を図ることができます。
ステップ③:効果測定
次にデータ収集の準備を整えます。SNSプラットフォームのアナリティクスツールや外部ツールを使用して、設定したKPIやKGIに関連するデータを収集する体制を整えます。
そして、収集したデータを分析し、フォロワー数の増加率やエンゲージメント率など、設定したKPIやKGIに関連するデータを計算し、目標達成度を評価することで効果測定ができます。
得られたデータと設定した目標を比較し、実際の成果と目標達成度を評価します。KPIやKGIの達成状況を確認し、目標に対する成果を評価します。
SNS媒体別のKPI
SNSプラットフォームには、Facebook、Twitter、Instagram、TikTok、YouTubeなどがあります。それぞれのプラットフォームは、異なる機能や特性を持ち、特定の目的やターゲット層に向けて活用されます。また、SNSプラットフォームごとに測定すべき指標が異なるため、今回はTwitterとInstagramに関連する数値項目を紹介いたします。
<Twitter>
①インプレッション数
投稿がユーザーに表示された回数を表します。この数値は、投稿がどれだけ多くの人に届いたかを測る指標であり、広告の露出度や影響力を評価する際に利用されます。
②いいね数
投稿に対する「いいね」の数を示します。ユーザーが投稿に興味や関心を持っていることを示す反応であり、特定の角度で関心を寄せるユーザーの数を測定します。
③リツイート数
投稿をリツイートした回数を指します。リツイートは、投稿を拡散したい、内容に同意するなどの意図がある場合に行われる行動であり、特定のテーマに対する関心の高さを示す指標です。
④クリック数
投稿内のリンクやメディア、投稿そのものをクリックした回数を示します。ユーザーがより詳細な情報を求めている場合や、深い関心を示す場合にクリックが行われ、その動向を測定します。
⑤メンション数
投稿に自分のアカウントを含める回数(@で記載)を表します。他のユーザーが自身のアカウントを取り上げて情報を共有する場合、関心の高いユーザーやコミュニティとのつながりを示す指標となります。
これらの指標を通じて、Twitter上での活動の成果や効果を分析し、戦略の最適化や改善を行うための情報を得ることができます。
<Instagram>
①リーチ数
リーチ数とは、投稿を見たUU数を表す指標です。投稿がユーザーに表示された回数を示す重要な数値で、「ユーザーに投稿が届けられた数=リーチ数」です。
「リーチ数が多いインフルエンサー」を活用することで、投稿が多くのユーザーに閲覧される可能性が増し、それによって購買に繋がる可能性も向上します。
②保存数
保存数とは、投稿がどれだけのユーザーによって保存されたかを示す指標です。この指標はインスタグラムのアルゴリズムに影響され、多くのブックマークがされた投稿は「ユーザーにとって価値のある役立つコンテンツである」とインスタグラムに評価され、推奨されやすくなります。推奨されることで、フォロワー以外のユーザーにも情報が届けられる機会が広がります。
③クリック数・Webサイトタップ数
ウェブサイトクリック数/タップ数とは、ストーリーやリール、プロフィールに掲載されたウェブサイトリンクやメールアドレスなどがクリックまたはタップされた回数を示す指標です。この中の「クリック数」は、ストーリーやリールに配置されたURLからの遷移回数を指し、「ウェブサイトタップ数」はプロフィールに掲載されたリンクのタップ回数を計測するものです。これにより、インスタグラムからウェブサイト(またはメールアドレス)への移動がどれだけ行われたかを計測し、PR投稿による購買数の変化やウェブサイトへのアクセス数など、ユーザーの行動を確認することが可能です。
インスタグラムでは、見るべき指標は「フォロワー数」や「いいね数」だけではなく、「リーチ数」「保存数」「クリック数/webサイトタップ数」の指標が特に重要です。
施策別のKPI
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングを成功させるには、「どのようにしてターゲットのリーチを効率的かつ経済的に拡大できるか」ということが重要です。注目すべき指標は「リーチ数」「保存数」「クリック数/ウェブサイトタップ数」の3つの指標で、これらは実際の成果や売上に大きな影響を与える要因であり、インフルエンサーマーケティングにおける重要なKPIとして機能することがあります。これらの指標を通じて効果の評価や費用対効果の計算を行い、戦略の最適化を行うためには、これらの3つの指標を理解することが不可欠です。
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンは、Twitterを中心に広く用いられるSNSマーケティング手法で、主な目標は「認知の拡大」と「フォロワーの増加」です。この手法には、「フォロー&リツイートキャンペーン」のほか、「#」を付けて投稿すると特定商品が当たるという拡散を促すキャンペーンも存在します。キャンペーンの成功を評価するためのKPIとして、「いいね数」や「フォロワー数」などが挙げられます。
企業の商品やサービスに関連するユーザー生成コンテンツ(UGC)の作成を促すキャンペーンでは、「オリジナルハッシュタグの使用回数」が重要なKPIとなります。
業種別に見るKPI改善の実例
KPIは種類によって改善の見え方が異なります。フォロワー数以外にどのような指標が動くのかを、業種の異なるFinTの支援実績から紹介します。
- 金融(SMBCコンシューマーファイナンス):エンゲージメント率を軸にXアカウントを運用し、1投稿平均エンゲージメント数が前年比約180%、月間コメント数が施策前比5倍以上に。事例を見る
- 美容・コスメ(ロート製薬「SKIO」):CPF(フォロワー獲得単価)という費用対効果のKPIを重視し、獲得CPFが業界平均の3分の1に。事例を見る
- IT・Webサービス(占いアプリ「ウラーラ」):CVR(コンバージョン率)をKPIに短尺動画広告を運用し、画像広告比でApp Store遷移後のCVRが約2倍、目標達成率120%を突破。事例を見る
- 美容・コスメ(ロレアル プロフェッショナル):フォロワー増加率とハッシュタグ流入率をKPIに設定し、月間フォロワー増加数が3倍、ハッシュタグ流入率が2倍に増加。事例を見る
このほかの業種の事例は導入事例一覧からご覧いただけます。
まとめ
SNSマーケティングのKPIとは、キャンペーンや戦略の成功を評価するための数値指標であり、企業の目標や戦略に合わせて設定されます。一方、KGI(は、SNS活用の最終目的を表す指標であり、例えば「認知度向上」や「売上増加」などが含まれます。企業の中期経営方針や現状の課題も考慮し、KPIやKGIを設計することが重要です。さらに、ターゲット層や目的を明確にすることにより、適切なSNSプラットフォームの選定が可能になります。
SNSマーケティングの成功には明確な目標設定(KPI・KGI)と効果測定が欠かせません。定量的なデータを基にした戦略の最適化や改善が行われ、企業のSNSプレゼンスの向上に貢献します。
当社は、SNSマーケティングにおいて460社以上を支援してきた実績をもとに、クライアント様の事業/マーケティング課題を解決するための戦略立案から実行、効果検証までを一気通貫でご支援しております。KPI・KGIの設計についても、お気軽にご相談ください。
よくある質問
- SNSマーケティングのKPIとKGIの違いは何ですか
- KGI(Key Goal Indicator)はSNS活用で最終的に達成したい目標(売上・認知度向上など)を指します。KPIはそのKGIを達成するための中間指標(エンゲージメント率・フォロワー増加率など)で、KGIから逆算して設定します。
- SNSマーケティングで最初に見るべきKPIは何ですか
- フォロワー数だけを見るのではなく、投稿がどれだけ届いたかを示す「リーチ数」と、反応の質を示す「エンゲージメント率」をあわせて見ることをおすすめします。フォロワー数の増加だけを追うと、実際の反応が伴わないアカウントに育つリスクがあります。
- KPIはどのくらいの頻度で見直すべきですか
- 月次でのモニタリングを基本とし、キャンペーンなど短期施策を実施した場合は施策終了後に個別で評価します。季節性のあるSNS施策では、同時期の前年実績と比較して判断すると精度が上がります。