インフルエンサーマーケティングの成功事例に共通するのは、フォロワー数の多さではありません。商材が普段の投稿に馴染むインフルエンサーを選び、目的に合った指標で成果を測っていることです。
インフルエンサーマーケティングとタイアップ投稿とは

インフルエンサーマーケティングとは、SNS上で影響力を持つ人物(インフルエンサー)に商品やサービスを紹介してもらい、フォロワーとの信頼関係を通じて認知や購買を促すマーケティング手法です。企業が自社のアカウントや広告で伝えるよりも、普段からそのインフルエンサーを見ているフォロワーに受け入れられやすいという特徴があります。
その中心になるのがタイアップ投稿です。タイアップ投稿とは、企業がインフルエンサーに依頼し、報酬を支払って商品やサービスを紹介してもらう投稿のことです。インフルエンサーが自分のアカウントで、自分の言葉と表現で紹介するため、フォロワーにとっては普段の投稿の延長として届きます。
タイアップ投稿には「PR」などの表記が欠かせません。2023年10月1日から、広告であることを隠した表示(ステルスマーケティング)は景品表示法の違反になりました。規制の対象は、投稿したインフルエンサーではなく、依頼した広告主の企業です(出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法の考え方」)。
インフルエンサーマーケティングの成功事例
ここで紹介する事例は、すべてFinTが支援したものです。施策の目的によって、選ぶSNSも、起用するインフルエンサーも、成果を測る指標も変わります。自社の目的に近い事例から読むと、施策の組み立て方が分かりやすくなります。
アース製薬「モンダミン」:使用シーンごとに投稿を分け、指名検索数と店頭購買数が上昇

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | ブランドの認知度は高いのに、マウスウォッシュを使う場面が思い浮かばず、自分ごとにされていなかった |
| 目的 | 使用シーンを増やし、指名検索や店頭での購買につなげる |
| 施策 | 数千件以上のSNS上の発話から使用シーンを洗い出して優先順位をつけ、シーンごとにTikTok・Instagram・YouTubeを使い分けて投稿。投稿後にSNS広告も配信 |
| 成果 | 目標インプレッション250%達成。指名検索数・店頭購買数が上昇し、売上への貢献と再現性に優れた使用シーンが2つ見つかった |
インフルエンサーは、フォロワー数ではなく「その場面を自分ごととして語れるか」「その場面に関心のある人たちから信頼されているか」で選びました。使用シーンごとに分析用のタグを設置し、どの場面の投稿が売上に結びついたかまで確かめています。再生回数やリーチだけでは「売上につながったのか」が分からないため、指名検索(ブランド名や商品名をそのまま入れた検索)と店頭購買まで見たのがこの事例の特徴です。施策の結果をもとに「次は、こうしよう」と判断できる状態になりました。事例を見る
使用シーンを起点にした施策の考え方は、次の記事で詳しく解説しています。
CEPとは?カテゴリーエントリーポイントの意味と施策のポイントを事例を交えて解説CEP(カテゴリーエントリーポイント)とは、消費者がある商品カテゴリーを思い浮かべるきっかけになる場面のことです。意味と具体例、メンタルアベイラビリティとの関係、施策に活かすポイントを、CEPを元に施策を設計した事例とあわせて解説します。
丸美屋食品工業「おにぎりの具シリーズ」:構成を指定せずに任せ、商品言及率40%超え

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | これまで販促をしておらず、従来のふりかけとは違う使い方を動画で分かりやすく伝えたかった |
| 目的 | 新商品の使い方を伝え、実際に使った人の声と購買につなげる |
| 施策 | FinTのUGC創出サービス「ココクリ(cococre)」で、ミドルクリエイター17名が40件のUGC動画を投稿。動画は公式Instagramとサンプリング用のリーフレットにも使った |
| 成果 | エンゲージメント合計約50,000件、商品言及率40%超え |
UGC(User Generated Content)とは、企業ではなく生活者やクリエイターが作って発信するコンテンツのことです。この事例では動画の構成をクリエイターに任せ、避けたい表現やジャンルは事前にすり合わせました。投稿前にはFinTとクライアントによる二段階の審査を行っています。細かい構成を指定しなかったことで、クリエイターが普段から動画を見ている視聴者に自然に商品を紹介でき、コメント欄には「買います」「買いました」という声が多く寄せられました。事例を見る
三ツ星ファーム(イングリウッド):クリエイターのUGCを広告に使い、獲得広告では届かなかった層へ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 獲得広告は配信が最適化されるほど届く相手が狭まり、新しい顧客に出会いにくくなっていた |
| 目的 | まだ商品を知らない層に届け、新規顧客を獲得する |
| 施策 | ココクリ(cococre)で、クリエイターが実際に食べる様子を縦型動画で投稿。週末などに20〜30人が一斉に投稿し、投稿は広告にも使った |
| 成果 | 累計69名・合計フォロワー数約945万人のクリエイターが参加し、累計UGC数171件、合計再生回数5,113,593回を突破 |
冷凍弁当は画面越しに味が伝わりにくいため、作り込んだ広告ではなく、生活者と同じ目線で食べる姿を見せました。1回目の反響から、機能より「美味しそうに食べる場面」や「アレンジ」が響くと分かり、2回目以降に生かしています。新規獲得は毎月120%ほど伸長し、この施策もその伸びに貢献しました。事例を見る
&honey(ヴィークレア):くれいじーまぐねっとのレビュー動画と店頭のサイネージで、売上を比較検証

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 新商品の発売直後に話題を作るだけでなく、その後に落ち込みやすい店頭の売上を保ちたかった |
| 目的 | 新商品「&honey クレンジングバーム ブラック」を話題にし、店頭での購買につなげる |
| 施策 | クリエイターユニット「くれいじーまぐねっと」が本社を訪れ、担当者の商品説明と使用感のレビューで構成したYouTube動画を制作。Xのプレゼントキャンペーンと連動させ、ウエルシア薬局の店頭でデジタルサイネージ広告も出稿 |
| 成果 | Xでの「&honey」の発話(UGC)が投稿前の約6倍。サイネージを出稿した店舗は、出稿していない店舗と比べて金額PI値(レジ通過客1,000人あたりの売上金額)が17.4%向上 |
この事例のポイントは、SNSでの話題化と店頭の売上を分けて測ったことです。発話は動画の投稿前後の10日間で比べ、売上はサイネージを出稿した店舗としていない店舗で比べています。YouTubeチャンネル登録者数205万人のクリエイターを起用しつつ、商品説明は企業の担当者、使用感はクリエイターと役割を分けたことで、レビュー動画でありながら商品の特徴も正しく伝わる構成にしました。動画の視聴回数は約42万回(2024年7月16日時点)です(出典:FinTのプレスリリース)。事例を見る
カウシェ:マイクロインフルエンサー約10人の起用で、1つの施策で1万を超えるダウンロード

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | アプリは200万ダウンロードを突破していたが、さらに大きく伸ばすきっかけがほしかった |
| 目的 | アプリのダウンロード数を伸ばす |
| 施策 | TikTok・Instagram・YouTubeで検証し、TikTokに絞り込んだ。フォロワー数が数万前後のマイクロインフルエンサーを約10人起用し、伸びた投稿の形を横展開。初回は広告でも配信 |
| 成果 | 1つの施策で1万を超えるダウンロード。ほかの施策と比べても安くダウンロードを獲得できた |
あえてフォロワー数を抑えたのは、影響力が大きすぎると「その人だから伸びた」という結果になり、何が効いたのかを検証できないためです。最初の3か月は目標を置かずに切り口を幅広く試し、手元だけを映すVlogや夫婦の会話から始める形など、伸びた型を見つけてから展開しました。事例を見る
インフルエンサーマーケティングの成功事例に共通する5つのポイント
紹介した5つの事例は目的も業界も違いますが、インフルエンサーの選び方、投稿内容の伝え方、成果の測り方には共通点があります。自社で施策を考えるときや、依頼先の提案を比べるときの物差しになります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 普段の投稿と商材の親和性で選ぶ | あからさまなタイアップ投稿は見る人に嫌がられやすい。フォロワー数ではなく、商材が普段の投稿に自然に馴染むかで選ぶ |
| 規模と人数を目的で決める | 話題を一気に広げたいなら影響力の大きいインフルエンサーを、勝ちパターンを探したいならフォロワー数を抑えたインフルエンサーを複数起用するなど、目的に合わせて起用の形を変える |
| 訴求軸は定め、投稿の魅力を損なわない | 文言を指定しすぎると、インフルエンサー本来の投稿の魅力がなくなる。伝えたい訴求軸は定めたうえで、避けたい表現だけをすり合わせ、その人らしい投稿を生かす |
| 広告と組み合わせる | SNSの投稿は、内容が魅力的でも、投稿するタイミングや媒体の状況によって広がり方が左右される。広告でも配信することで、成果を安定させられる |
| 目的に合う指標で測る | 購買なら指名検索や店頭の売上、新商品の浸透なら商品への言及、アプリの獲得ならダウンロード数と、目的ごとに測るものを変える |
なかでも差がつきやすいのが、成果の測り方です。再生回数やリーチだけを報告していると、施策が売上に結びついたのかを社内で説明できず、続けるかどうかの判断もしにくくなります。施策を始める前に、目的から指標を決めておくことが欠かせません。指標の決め方は次の記事で解説しています。
SNSマーケティングのKPIとは?効果測定で見るべき指標と設定の4ステップSNSマーケティングのKPIは、KGIから逆算し、自社の施策で動かせて売上や問い合わせとつながる数値を選びます。KPIにする指標の3つの条件と目的別の指標、設定の4ステップを、FinTの支援事例とあわせて解説します。
インフルエンサーのタイアップ施策の進め方

タイアップ施策は、目的と指標を決める、起用する人を選ぶ、企画を伝える、配信して測る、の4段階で進めます。事例で成果が出ていたのは、最初に決めた目的と指標が、起用する人の選び方から振り返りまで一貫していた施策です。
費用は、インフルエンサーへの報酬、企画やディレクションの費用、広告の配信費の組み合わせで決まります。起用する人数とフォロワーの規模、投稿の形式、広告で配信するかどうかで変わるため、見積もりはこの内訳に分けて比べてください。費用の考え方は次の記事で解説しています。
インフルエンサーマーケティングの費用と料金相場とは!成功させるための鉄則を解説!インフルエンサーマーケティングは、影響力を持つ人物であるインフルエンサーを活用するマーケティング戦略です。インフルエンサーマーケティングの成功には正確な費用計算と戦略的なアプローチが欠かせません。
施策を外部に依頼する場合は、自社と目的の近い実績があるか、起用する人をどんなデータで選んでいるか、成果をどの指標で測るかを確かめると、依頼先の違いが見えてきます。依頼先の比べ方は次の記事で詳しく解説しています。
インフルエンサーマーケティング会社の選び方|5つの比較軸インフルエンサーマーケティング会社(代理店)は、業界近似の実績・キャスティングデータの質・KPI設計力など5つの軸で比較します。依頼前に確認すべき質問と、業界別の実績例をあわせて解説します。
まとめ
インフルエンサーマーケティングの成功事例を見ると、指名検索と購買、新商品の使い方の浸透や話題化、新規顧客やアプリの獲得のどれを狙うかで、選ぶSNSも、起用する人も、成果を測る指標も変わります。一方で、普段の投稿と商材の親和性で人を選ぶこと、訴求軸は定めつつ投稿の魅力を損なわないこと、広告と組み合わせて成果を安定させること、目的に合う指標で測ることは、どの事例にも共通していました。自社の目的に近い事例から、施策の組み立て方を検討してみてください。
インフルエンサーマーケティングの支援会社をお探しの方へ
FinTは、累計460社以上のSNSマーケティングの支援実績をもとに、インフルエンサーマーケティングを、目的と指標の設計からインフルエンサーの選定、企画とディレクション、広告との組み合わせ、効果測定まで一気通貫で支援しています。指名検索や購買など、再生回数だけでは見えない成果まで確かめながら、次の施策の改善につなげます。クリエイターによるUGCの創出(ココクリ)や、自社メディア「Sucle」とのタイアップのご相談も承ります。
よくある質問
- インフルエンサーマーケティングの成功事例に共通する点は何ですか
- フォロワー数の多さではなく、施策の目的に合ったインフルエンサーを選んでいることと、目的に合った指標で成果を測っていることです。FinTの事例では、商材が普段の投稿に自然に馴染むかを見て起用する人を選び、購買なら指名検索や店頭購買、アプリの獲得ならダウンロード数で効果を確かめています。
- タイアップ投稿とは何ですか。PR表記は必要ですか
- タイアップ投稿とは、企業がインフルエンサーに依頼し、報酬を支払って商品やサービスを紹介してもらう投稿のことです。2023年10月1日から、広告であることを隠した表示(ステルスマーケティング)は景品表示法の違反になりました。規制の対象は広告主である企業なので、タイアップ投稿には「PR」などの表記を必ず入れてもらいます。
- フォロワー数が少ないインフルエンサーでも成果は出ますか
- 出ます。FinTが支援したカウシェの事例では、フォロワー数が数万前後のマイクロインフルエンサーを約10人起用し、1つの施策で1万を超えるダウンロードを獲得しました。フォロワー数を抑えて人数を増やすと、どの投稿の形が効いたかを比べやすく、勝ちパターンを見つけやすくなります。
- インフルエンサーマーケティングの効果はどう測ればよいですか
- 施策の目的から指標を決めます。認知拡大なら再生回数やリーチ、購買につなげたいなら指名検索の数や店頭・ECの売上、アプリや会員の獲得ならダウンロード数やCVRを追います。アース製薬「モンダミン」の事例では、使用シーンごとに分析用のタグを設置し、指名検索や店頭購買との関係まで確かめました。